核の傘下を外れる努力を
核の抑止力。戦を起こさぬための必要悪だという。大国(アメリカ)は反目するもう一方の大国(ソ連〔現ロシア〕)と核の保有数での均衡を保つことで核を使わぬようにしてきた。インドとパキスタンとの関係も同じである。核の均衡によって相手と対峙してきた。しかし、この注視し合う相手が、一国ではなくなったことから、抑止力の影響力が揺らいでくる。9.11をうけ、敵とみなす集団や国家が、多様化しているのが明らかとなった。ならず者国家の乱立である。イスラエルは核を保有しているにもかかわらず、イランの核保有を許すまじと、アメリカを取り込んでいる。アメリカはイランのバックにロシアがあることを睨み、世界規模での核の均衡をこれ以上崩したくないのだろう。
これから起こることが、とてつもなく恐ろしく思う。
仮定の話ではあるが、もし、アメリカと北朝鮮の関係が悪化し、北朝鮮が武力攻撃を仕掛けるとしたら、どうするだろう考えたとき、アメリカの同盟国である日本のアメリカ軍施設(嘉手納、三沢、横田、横須賀など)にミサイルを撃ち込むだろう。特に施設の多い沖縄は危険である。そうなった時の我が国のスタンスを考えると気が重い。日本領土がが戦火を被ったのだから交戦すべきだとなるだろうし、アメリカからすれば、自衛隊が発動してどうにかすればありがたいことだろうし、結果、北朝鮮と日本との戦いにすり替えられれば、こんなに都合のいいことはないだろう。領土(本土)で敵国との交戦をしていないアメリカは、自分のところへ戦火がむかないことを望んでいる。それゆえ、遠く離れたところでの惨状は、自分の身が痛まないため目をつむる傾向が強い。貿易センタービルやペンタゴンやらと本土をやられることには敏感であるにもかかわらず。
イランが報復の矛先をどこに向けるのか。バーレーン、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、最大の空軍基地のあるカタール?アメリカと緊密な関係である中東の国々は、イランVSイスラエルの構図からイランVSアメリカへの構図の変換がもたらす危険性を強く感じているだろう。アメリカが苦悩する先に、ほくそ笑むロシアがいる。アメリカに非難が集中していけば、西側諸国に対して、ウクライナ侵攻の正当化を誇るやもしれん。
そんな、それぞれの自分ファーストな思惑が入り乱れる現代。誰が、思惑にとらわれず正しく判断できる状況のあるのか。それは、日本しかないといえる。平和を望み、自国にとって都合のいい思惑をめぐらさず聖人たる意識でここを収める努力をすることだ。思惑に取りこまれず、思惑をめぐらさず、戦略をねらず「青臭い正論」を吐くときだと思う。
2025/06/23