Vol.63 変異株

 「自助努力」おおいに結構。「自然治癒力」的なものとして、コロナを背景に教育界のわれわれに託されるのなら大いに結構。
 けれども、情勢は違うようだ。「自助努力」とは。先生方も国民や生徒と同様、我慢して、上からの指示に従うことだとすりかえる。極端ではあるが、自助努力の使われ方は、「今は、我慢して、動かず!令に従え!」と聞こえる。ここぞとばかりに、やれ指導要領の改訂だぁ、GIGA構想だぁと矢継ぎ早に降り注がれて、自らが構想を構築して創造する努力の余地もない。努力として残るのは、追いまくられてこなす「実のない定義」ばかりとなる。何にも面白くない。家畜さんには申し訳ないが、家畜と化した気分である。ここまで茶番がまかり通るならば、戦前・戦中の日本と同じではないか。GIGA構想の着地点はどこなのかよく分からんが、過剰にITに傾倒するのは危険としか思えない。便利さと裏腹に失うものを見ていないからだ。

◎最近の出来事から


 空港での検疫以外、つまり海外からの帰国者以外に国内で初めて変異株の感染が確認されたのは、静岡県だった。厚生労働省は1月18日、静岡県内の男女3人からイギリス由来の変異株が確認された、と発表した。3人とも海外への渡航歴はなかった。
 さらに翌19日には、東京都の10歳未満の女の子からも同様の変異ウイルスが見つかった。この女の子にも海外渡航歴はなく、渡航歴のある人との接触もなかった。
 どこでどのように感染したのかなど感染経路は不明で、市中感染の可能性もある。市中感染だとすると、すでに変異ウイルスの感染が水面下で広がっていることになる。

   2021/01/27  PRESIDENT Online より抜粋

 
 テレビでも報道されたが、イギリス由来の異変ウィルスが東京都の10歳未満の女の子から見つかった。海外、もちろんイギリスの渡航歴もなく、渡航歴のある人との接触もなかったのにだ。このことから、市中感染かと報道されている。イギリスに渡航歴があって異変ウィルスに感染した者が持ち込み、それが広がっていくとする論考には、まてよ、と思うところがある。そもそも、イギリスで変異したのは何故という答えが得られていないし、変異の概要もはっきりしていないからだ。もしかしたら、日本で変異したウィルスという可能性ももった方がいいかもしれない。感染がある程度広がるとカオスとなり、次の形態へ変異する特性があるやもしれぬ。たまたまそれがイギリス由来株と似ていたとも考えられるからだ。
 まさか、であってほしいが、世の論調までもが、画一的な方向を示している。それは、「イギリス由来株」だから本国には責任はない。発生源が悪の温床ととらえ、そこではない自分は全く無関係であるとして落ち着かせる心理である。これは○型、それは△型、分類することも大事かもしれないが、決めて(決めつけて)しまえば、安心とする人の性[さが]を感じてしまう。可能性と恐れを同一のものとして、事物・事象を見つめていく姿勢は失わない方がいいと思う。たとえ、杞憂で終わるにしろ。

 IT至上主義。これに頼り、人間らしさを失う株へと変異する21世紀の第1クオーター終盤。
               2021.1.28

白髪レガシーVol.63 PDF