人間がたゆたうブラックボックス

 机上ではきっちり治まっていたとしても、現実はうまくいかないことがある。新幹線の運行遅延は台風に端を発しているが、そればかりではないだろうし、マイナカードの問題にいたってはお粗末としか言えない有様だ。打開する方策としてその矛先をシステムに向けるのが現在のトレンドなのだ。テクノロジックなテクニカルな部分を改善することで乗り切ろうとしていくことになるだろう。
 路線の安全を目視で確認するのは結局人であろうし、乗務員や駅員がその時充足していたかは疑わしい。マンパワーが足りていないことが、またもや問題点なのかとも見て取れる。しかし、それも正しき答えではないだろう。例えば、AIがここをこうしてこうすれば、運行できると出したとしても、それに携わる人員が必ずや必要となる。機械は人の都合を鑑みないのだから、言いたいことだけ言って、あげく、無理を強いられるのは、現場の人間と言うことになる。万物はシステムどおりにすべてが動くと誤解しておられる。システムや数値を取り巻く人の存在あってこそ、それは成り立っているのだから。マイナカードも同じであろう。
 人を見るシステムを構築していかねばならない。現状では、人を見るのは人としている。ところが、見るべき人が削減されたり割愛されたりしている。結果的には、マンパワーが足りないに落ち着いてはしまうのだが、上位の者が机上ではじくだけで、人を顧みない姿勢でいるかぎり抜本的な解決には向かわないだろう。人間がたゆたいながら処理するブラックボックス。その重要性を顧みてほしい。
2023/08/18

hirorin について

東京で中学の国語教師をしていました。
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