Vol.55 香港を忘れるな!民主主義を忘れるな!

 アグネスこと周庭氏らが、昨年6月に「逃亡犯条例」改正案に反対するため警察本部を包囲するデモに参加し、デモ参加者を扇動した罪で有罪との判断を下され、収監される。
「周庭さんは、これまでの裁判で罪を認めている」とのことで報道されているが、逃亡犯条例改正案に反対したり、デモを扇動したりしたのは事実だろうから、それは嘘偽りなく認めたのであって、罪を認めているわけではないと思う。デモ扇動を認めてるということは、すなわち罪を認めていることなのだとしようとする当局の捉え方に、どうしてもおもしろくないものを感じてしまうのはわたしだけなのか?日本は日本で中国の内政に口をはさんで、これ以上の関係悪化を避けたいのか、黙認状態にもうつる。民主主義の危機が起きているのに、声をあげない民主国家といつわる日本。もう日本でも民主国家が名ばかりのものとなっているのは事実だ。当局に睨まれて職を失って、食えなくなったらという恐怖によって、思考の根を断ち、限られた者が望む世の中へ粛々と迷い込ませる構図が浮かんでくる。
 世界が理想を語る者に対して投じる無視にも似た冷たさは何であろう。炭素ガス排出ゼロでヨットで国連に参加したグレタ・トゥーンベリさんにしてもそうだ。周庭さんにしても世界から見捨てられていく道筋をたどるのかもしれない。SDGs などと企業を絡めたお題目ばかりが先行し、その根源にある理想を顧みない社会。話題にはなるが、それまで。その先に進もうと足並みを揃えることはない。 誰もが「自分ファースト」のところ落ち着いていく。利己主義な実態に民主主義というお題目をかぶせて偽らんとする世界。何もかもこの流れの中に呑み込まれていく。各々のイデオロギーが抹殺され、違うイデオロギーとして認識され変貌していく。恐怖政治の中にある民主主義。香港を忘れるな!民主主義を忘れるな!
         2020.11.24

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